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厚労省はなぜ病院再編・統合が必要な病院名を公表したのか?【最新ニュース】
日赤や公立病院が今ピンチを迎えておる!
厚労省は本気で病院再編・統合を進めようとしているのじゃ!
かみん様はいつも大袈裟ですね。
大丈夫でしょ、病院が合併したり無くなったりなんてしませんよ。
のん気なことを言っている場合では無い!
ちゃんとニュースを見たんか!
厚生労働省が先日、非常に重要な発表をしましたが病院で働く看護師さんや医師をはじめ医療職のみなさんはこのニュース知っていますか?
「再編や統合が必要な、全国424の公立病院や日赤などの公的病院を病院名を具体的に挙げて公表した。」
今回はこのニュースの背景に何があるのか?
なぜ、病院の再編や統合が必要なのか?
厚労省の狙いはどこにあるのか?
猫でもわかるようにわかりやすく、徹底解説します!
厚労省が全国424病院の公立・公的病院を再編・統合が必要であると病院名を公表したニュースの詳細
厚生労働省は26日、全国の公立病院や日赤などの公的病院のうち、診療実績が乏しいなどと判断した424病院に統廃合を含めた再編の検討を求めることを決め、病院名を公表した。過剰とされる病床数の削減を踏まえた議論を促すことを狙った異例の措置で、病院名の公表は初めて。
えー!
それでかみん様、全国424病院って具体的にどこなの?
自分の働く病院が入っているかどうか、自分が受診している病院が対象なのかがみんな一番気になっているところだと思います!
結論から申し上げますと、厚生労働省のホームページに公表されていますので気になる病院再編や統合が必要とされる病院リストはこちらからご確認下さい!
- 厚労省は2017年度のデータに基づいて病院名の公表に踏み切った
- 2020年9月までに再編・統合について結論を出すように都道府県を通じて対象の病院に要請
- 対象となる病院には病床数の削減、診療科の廃止や一部の診療科を他の病院に移すことなどを求める
- 今のところ強制力はない
つまりどういうことかというと、厚労省は独断や偏見でやみくもに再編や統合の対象となる病院を決めたわけではないということなのです。
客観的データを、2017年度の実績を基にして調査したのです。
- 対象は公立や日赤などの公的病院のみ
- 重症患者向けの「高度急性期」と一般的な手術をする「急性期」に対応できる全国1455病院を調査
- 調査項目は9分野の診療実績(がんや救急医療など)
- 車で20分以内の近隣に競合する病院があるかどうかを分析
厚労省が病院再編や統合を急いでいるたった1つの理由は「医療費抑制が必要だから」
厚労省は、なぜ病院再編や統合を実現したいのか?
結論から申し上げますと以下のようになります。
➁医療費増大のもととなる病院ベッド数は減らし、入院日数を短くして不必要な入院は撲滅したい
➂これらによって医療費を抑制したい
なぜ、これほどまで医療費の抑制、社会保障費の削減の必要性が高まっているのか?
ポイントとなるのは、2025年に向けた以下のような問題があるからです。
2025年問題ってなに?
もちろん看護師なら知っているんじゃろな?
えっとー、東京の次のオリンピック?
リニア?
いや、違うなーわからん。
バカもん!
看護、介護の未来を担う職につくものが知らないでは許されまい!
2025年問題とは、団塊の世帯全員が75才以上、つまり後期高齢者となって医療・介護・福祉などに必要となる社会保障費が増大することで国の財政を圧迫することが心配されている問題のことです。
人生100年時代と言われるようになり、健康志向の高まりや、医療の進歩などによって元気な高齢者が増えることは素晴らしいことであると思います。
ただ、同時に社会保障費の増大は確実なため国としてはなんとか医療費を抑制したいと考えているのです。
そして今回、厚労省が病院再編や統合を急いでいる理由もまさに2025年問題に向けた対策の一環であるとも言えます。
医療費抑制のために、病院再編や統合を安易に進めてもそこに問題はないのか?
じつは、物凄く大きな問題があります。
みなさんの身近な病院がなくなってしまう可能性が出てきているのです!
今回、厚労省が発表した再編や統合が必要とされる病院リストを見てみると、特に地方や田舎の病院が多く挙がっています。
対象として病院名を公表された公的・公立病院からは当然ですが反対の声が多数挙がっています。
また、自治体や住民からも反発の声が多数挙がっています。
そして私も、今回の病院再編や統合には反対です。
確かに、医療費、社会保障費の抑制は2025年問題に向けた非常に大きな課題です。
しかし、今回の国のやり方は配慮に欠けていて大きな欠点がありますのでそれについてご説明します。
公立病院や日赤などの公的病院は過去も今もこれからも必要だ!
今回、国はやみくもに病院名を公表したのではなく2017年度のデータに基づいて病院再編や統合の必要を検討しています。
ただし、国が出した診療実績のデータは適切なのか?
診療実績のデータだけで配慮に欠けてはいないか?
私は以下の点を指摘したいと思う。
➂病院が近くになければ地方、田舎に人は定着しない!
国が参考にした診療実績のデータは、ほとんどが2017年6月の1ヶ月間だけであるという点が問題であると私は思います。
救急車の受け入れ件数以外の全ての項目が、1ヶ月間だけであったとのことです。
1ヶ月間だけのデータで、その病院の本当の必要性は判断できるのでしょうか?
例えば、脳血管障害は脱水や多汗によって、血液の流れが悪くなりやすい夏場や、冷たい空気によって血管が収縮し、血圧上昇を起こしやすい冬場に多いと言われています。
また、積雪の多い地域や気温が低くなり路面が氷って転倒して大腿骨頸部骨折などを起こしやすくなる地域性があることも医療界での常識です。
これらは一例に過ぎませんが、国は2017年6月の1ヶ月間だけのデータで病院や地域の未来を大きく左右する重要な決定を下そうとしています。
これは、おかしいと言わざるを得ません!
また、長年受診していて信頼、親しみのある病院であったり、信頼している医師、相性の良い医師に診てもらいたいという要望もあるでしょう。
さらに、複数の診療科を受診する必要があり1つの総合病院で診てもらえることが患者に取ってどれだけありがたいことか。
また、雪の多い地域に住んでいたり、高齢となり長距離の運転が難しい患者に取ってはどうでしょうか?
やはり、より近くに病院があることはありがたいことであり、今の病院が無くなってしまったら困るという人は沢山いるはずです!
これら、個人の事情は全く考慮されていません。
次に、地域や病院の事情で考えてみましょう。
市町村の財政支援によって、病院機能を維持している病院は地方には特に多くあります。
例えば、長野県飯山赤十字病院は飯山市から年間1億円以上の財政支援を受けて成り立っています。
こうした、持ちつ持たれつの市町村と病院の関係により地域医療は支えられているケースは多くあります。
長野県飯山市と言えば、豪雪地域として知られています。
もしも、飯山赤十字病院が無くなってしまったらこの地域の住民は雪が積もり交通機関がマヒしたときに医療が受けられないことが多々出てくるでしょう。
また、病院は地域の雇用を支えていたり街づくりの核として病気の治療や健康づくりだけではない役割があります。
もしも、病院が無くなってしまえば地方はさらに住みづらくなり過疎化が進んで地域崩壊につながるでしょう。
住民が地域で安心して暮らすために必要なものはなにか?
色々あると思いますが、病気になったときに安心して受診することができる総合病院があるというのは高齢者にとって、または若い世代であっても将来的な展望をする際に必要不可欠なものでしょう。
また、働き盛りの世代では、地域に雇用があるかということも重要な点になります。
地域の雇用の大きな支えに、病院がなっているという一面もあります。
過疎化する地域の支えになっている病院が、今回の国が公表した424病院のなかには多くあります!
このような地域にとって、必要不可欠な病院の再編・統合について早急に推し進めることは本当に正しいのか?
早速、病院再編や統合に反対や戸惑いの声が相次いでいます。
宮城県大崎市で2日、大崎・栗原医療圏の医療、行政関係者が医療提供体制を協議する会議が開かれた。厚生労働省が公表した、再編統合の検討などが必要な県内18の公的病院のうち、7病院が医療圏内で、院長からは国の方針に戸惑いの声が相次いだ。
例えば、厚生省から名指しされた宮城県にある涌谷町国民健康保険病院の新田篤院長は次のような声明を出しています。
「地域包括ケアという言葉がない時代から地域包括ケアを実践してきた。それで、いいのだろうと思っていたが、今回、18病院の中に入った。実際、国は具体的に何をイメージしているのか、再編統合を考えているのか、分からない」
また、大崎市民病院の並木健二院長は次のような声明を出しています。
「岩出山分院は建て替えたばかり。鳴子分院は、これまでも病床数を減らしており、さらに、建て替えにより40床と、かなりダウンサイジングとなる。今、実施設計中で、計画を変更するのは大変だ」
宮城県の2つ病院長の声明のように、今全国各地で病院再編や統合に反対する声が多く挙がっています。
涌谷町国民健康保険病院のように国の方針に沿って、地域包括ケアに力を注いできた病院はようやく軌道にのって来たところなのではないでしょうか。
せっかく軌道にのって来たところで、またしても病院再建や統合という大きな転換を図らなければならないのか。
そうなると、地域包括ケアの実践に尽力してきた医療・福祉・介護関係者の努力が水の泡となりかねない事態とも言えますね。
また、大崎市民病院のように建て替えや病床数を減らしたりして組織の中で既に再編や統合を進めて来た病院からすると短期間に何度も病院再編や統合問題に悩まされることになります。一度決めた計画を変更するのは本当に大変なことであると思います。
このように宮城県で起きていることは全国各地で起きていることなのです。
さて、この問題の行く末はどうなるか。
今後も最新情報が入り次第UPしていきます。