
「ゲーム障害」とは?治療が必要な依存症とWHOが認定、ネット・ゲーム依存の診療が注目されている
みんなゲーム大好き!
気持ちはよくわかります!
「ゲーム障害」という言葉はご存じですか?
じつは、日本だけの問題ではなく世界的にゲーム人気が高まる中、WHO(世界保健機関)が2019年5月に治療が必要な依存症の1つに「ゲーム障害」を認定したのです。
ゲームが好きなのは、子供だけではありません。
看護師、介護士のみなさんもゲーム好きは沢山いますよね。
そこで、今回は「ゲーム障害」についてまとめてみました。
ゲーム障害とは
パソコンやスマートフォンなどを利用したゲームへの過度な依存によって、日常生活に支障をきたす症状。
一昔前は、ゲームといえば自宅でテレビゲームをしたり、ゲームセンターに行ってゲームで遊ぶのが主流だったのじゃ。
近年、インターネットやスマホが普及して、いわゆるネット社会になったことでオンラインゲームが身近になったのじゃ。
ゲーム障害の定義については、それほど難しくはないと思います。
楽しいはずのゲームですが、熱中し過ぎて度が過ぎてしまうと、ゲームの長時間プレイが当たり前となってしまうんです。
そして気がついた時には、依存症となってしまっており家族などからゲームのし過ぎを指摘されても歯止めがきかなくなります。
日本人はとてもゲームが好きなイメージを持つ人も多いと思いますが、ゲームが好きなのは世界共通なのです。
近年、eスポーツが流行して世界中で大会が行われており、近いうちにeスポーツがオリンピック種目になるのではという報道もされています。
なにかと話題が尽きない吉本興業も力を入れているんですよね。
例えば、脊髄損傷で下半身麻痺で車いす生活を送っていたり、下肢切断で義足生活を送っている人であっても手が自由に使えればゲームにおいて、健常者と障害者の間にハンデキャップはありません。
話しは本題に戻りますが、ゲーム障害について日本経済新聞に注目ニュースがありますのでご紹介致します。
ゲーム障害についてWHO(世界保健機関)がゲーム依存を精神疾患に認定【日経記事】
世界保健機関(WHO)は25日、ゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定した。スマートフォンなどの普及でゲーム依存の問題が深刻化し、健康を害する懸念は強まっている。ギャンブル依存症などと同じ精神疾患と位置付け、治療研究や世界の患者数の把握を後押しする。2022年1月から発効する。
この日本経済新聞のニュースを見てみなさんはどう思いますか?
WHOが、「ゲーム障害」を「依存症」の1つとして国際疾病として正式に認定したことは世界中でも大きな反響を呼んでいます。
ゲームのやりすぎ、熱中して止められなくなるのはわしも経験済みじゃ。
高校受験前に、テレビゲームを徹夜でやって勉強せずに受験も落ちてしまった実体験がある。
かみん様にもそんな失態があったんすね!
子供だけじゃないですよ、自分もゲーム大好きですから!
WHOがゲーム障害を依存症認定した一方で、ゲーム業界からはゲーム依存を病気扱いすることや、ギャンブル依存症と同じ精神疾患にすることへの反発の声が上がっています。
いずれにせよ、ゲームのやり過ぎによって、子供が夜更かししたり、私生活が乱れたりすることで健康を害する可能性が高まることは事実としてあります。また、自分の生活や健康を害するだけでなく、家族や友達など周囲に暴力を振るうケースもあるそうです。
依存症といえば、薬物やアルコールは昔から精神科領域での治療対象として有名ですよね。
また、最近ではギャンブル依存症の報告も増えて社会問題となっています。
これから先は、ネット依存とかゲーム依存の問題が社会現象となっていきそうですね!
ゲーム障害の診断基準
WHOが発表した、ゲーム障害の診断基準についてまとめると上図の通りになります。
1)ゲームをする時間や頻度を自分でコントロールできない
2)日常生活でゲームを他の何よりも優先される
3)生活に問題が生じてもゲームを続け、エスカレートさせる
確かにこの3つの状態が1年以上も続くというのは依存症であるなと誰もが思うでしょう。
ところが、依存症というものは怖いものでわかっていても、周りの家族や友達、あるいは医師や看護師から止められても簡単に止めることはできないのです。
そこで、ゲーム障害に対する治療はどうなっているのか気になるところです。
私が調べたところ明らかとなったのは、まだまだゲーム障害に特化した治療を行っている病院は少ないということです。
ゲーム依存と似たような依存症として、ネット依存症が挙げられます。
ネット依存症というのは、インターネットに依存してしまう症状を言います。
インターネットに接続して行われるゲーム、つまりオンラインゲームも広義としては、ネット依存症として数えても間違えではありません。
そこで、検索する範囲を広めてネット・ゲーム依存というカテゴリーで調べてみると得られる情報も増えました。
そこで、ネット・ゲーム依存症治療の日本における現状についてご紹介致します。
ネット・ゲーム依存症治療を行う病院は増えている
例えば、こちらのページでは神戸大学医学部付属病院精神科神経科において2018年5月にネット・ゲーム依存外来を設置したことが特集されています。
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/670950/
また、神奈川県にある独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターでは依存症の最先端治療を提供しており依存症の相談や支援の輪を広げる取り組みをしています。この久里浜医療センターは、国内初のインターネット依存治療専門外来を設立したことで有名です。
https://kurihama.hosp.go.jp/
久里浜センターが公表しているデータによると、2019年9月現在で全国36ヵ所のゲーム障害治療施設があるとのこと。
まだ、全国でたった36ヵ所しかゲーム障害治療施設がないということは1つも治療施設のない都道府県もあるということですよね。
例えば私が生活している、長野県には今までゲーム治療についての情報は乏しく保健、医療活動は遅れていると言わざるを得ない状況でした。
それでも、最近地元の新聞コラムにネット・ゲーム依存の記事が載ったりするようにはなってきました。
また、長野県でも精神科医療の中核を担っている、県立こころの医療センター駒ケ根がゲーム障害の診療開始に向けた検討に乗り出したというニュースが流れました。
オンラインゲームなどのし過ぎで日常生活に支障が出る「ゲーム障害」について、県立こころの医療センター駒ケ根(駒ケ根市)が診療開始に向けた検討に乗り出したことが2日、分かった。
時代の変化によって、医療もニーズに見合った変化が求められるのです。
そのなかでも、精神科医療は人々の生活状況によって生み出される精神疾患や依存症も中身が変化しています。
精神科は非常に興味深い分野であり、私もいつか精神科医療に携わりたいなと思っています。
まだまだ、治療が遅れている日本では依存症分野に特化した医師・看護師が必要なのではないでしょうか。
もしかしたら、精神科領域にはまだまだ看護師の活躍の場があるのではないかと私は思います。
今後も随時、ゲーム障害やネット依存などの依存症の問題についても取り上げていきたいと思います。