看護師の前残業とは?始業時間前の情報収集、朝礼、点滴準備などの業務は残業代請求できるのか

看護師の前残業とは?始業時間前の情報収集、朝礼、点滴準備などの業務は残業代請求できるのか

つぶた君
「前残業」という言葉を聞いたことある、看護師や病院勤務の職種の方、介護福祉士さんはいますか?

かみん様

良い質問じゃ。

 

前残業とは、労働組合が問題に取り上げてそこから初めて聞く人も多いと思うあまり馴染みのない言葉じゃ。

つぶた君

前残業って本当はおかしな言葉だなって思います。

 

残業って、その日に残った業務を時間外に行うのが普通なのに。

 

前残業って、看護師に特に多いんですよね?

2019年、「働き方改革」が本格的にスタートしました。

残業時間の上限規制は、2019年4月に施行された「働き方改革関連法」に盛り込まれました。

時間外労働、つまり残業に上限が盛り込まれて、これを守らなければ使用者(経営者)は罰則を受けることとなりました。

一方で、看護師は残業代が請求できないサービス残業と言われる業務が当たり前となっている実態が古くからありました。

そして、労働者の味方である労働組合では「前残業」として始業前に仕事を行っていることや、始業前労働が残業代請求できないことを長年に渡って問題視して来ました。

そこで、今回は「前残業」にスポットを当ててみます。

かみん様

30分前にはほぼ全員が出勤しているのが当たり前な看護現場も珍しくない実態がある。

 

みなさんの現場はこんな実態ありませんか?

 

始業時間前の情報収集、朝礼の開始、点滴の準備、ミキシング。

 

また、ただでさえ過酷な夜勤の勤務時間前に早く来て、薬のチェックや経管栄養の準備などが当たり前な看護現場。

 

こんな現場を変えたい人は一緒に声を上げよう!

この記事はこんな人にオススメ
  • 「前残業」とは何か今まで全く知らなかった人
  • 労働組合で「前残業」について聞いたけど、実際はどうなのか知りたい人
  • 看護師のサービス残業を減らしたいと思う人
  • 始業前の出勤時間が早すぎる現場で働いている人
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前残業とは何?

前残業とは何かと問われた場合に、結論から申し上げますと答えは次のようになります。

前残業とは、決められた始業時間前に出勤して行う労働のこと。

かみん様
残業代が請求できるかは別として、出勤してから勤務の開始時刻前に情報取集、朝礼、点滴の準備などをもし行っているようなら、それは「前残業」と言うのじゃ。

 

じつは、私は以前勤めていた病院で労働組合の執行委員長を2年間経験させて頂きました。

私の場合、看護師長と労働組合の執行委員長を兼任するというなかなかレアなケースでした。

師長であり、労組の執行委員長でもあった私は、多くの学習会にも参加させて頂きました。

そこでの学びを通して、職員の働き方や労働者の権利、待遇面、福利厚生などには精通している自負があります。

また、現場で働く労働者の生の声を多く聞いたりしながら職員の要求をまとめて、団体交渉の場で使用者(=経営者)側との議論を多くしてきた経験が私にはあります。

さて、労働組合では、これまでに前残業について度々問題視してきた経過があります。

労働組合では、春闘アンケートや、勤務実態調査、退勤時間調査など、会社や企業に勤めている社員、つまりは労働者に対して労働組合がアンケートを取ったり、実態調査をすることが年に何回かあります。

この労働組合のアンケートや調査のなかでも、「前残業」のことはよく取り上げられています。

次のコーナーでは、私が労働組合の執行委員長をしていた組織が加盟していた上部団体である日本医労連が行った最近の調査で、「前残業」や「始業時間前業務」のことに触れていたため取り上げたいと思います。

 

ところで、この「前残業」という言葉は、多くの人は労働組合の調査などで初めて聞く人多いと思います。

病院以外の会社、企業ではどちらかと言えば、前残業と言うよりも『始業前出勤』や『始業前残業』という言葉で表現することが一般的であると思います。

法律の専門家である、弁護士さんなどに聞いてもやはり前残業と言うよりも『始業前出勤』や『始業前残業』という表現を使うのが一般的のようです。

例えば、こちらの弁護士さんのサイトでも詳細が書かれています。

https://bengoshihoken-mikata.jp/archives/1178

日本医労連が2018年に行った「始業時間前業務の経験者の割合」「始業時間前業務の残業代請求の実態」の調査結果

看護師 69.4%、医師 54.5%、リハビリ技師の 56.9%が始業時間前から勤務につき、業務してい
る。始業前残業は若年層ほど顕著。(中略)若年層ほど多く、多くの世代で昨年より増加傾向にある。看護師の場合 24 歳以下 82.2%、25~29 歳の 78.3%、30 歳代 69.6%、40 歳代 66.1%、50 歳代以上 61.7%と、その傾向が特に顕著だった。

日本医労連が行った、注目すべき調査を引用させて頂きましたがこの結果から何が言えるのかを簡単にまとめたいと思います。

看護師の前残業、始業時間前業務の実態
  • 病院で働く医療職は、始業時間前から業務を行っている割合が高い!
  • 医療職種のなかでも、始業時間前から業務を行っている割合が一番高いのが看護師である!
  • 看護師のなかでも、若手になるほど始業時間前から業務を行っている割合が高い!

医師よりも約15%も多くの看護師の方が、前残業と言われる始業時間前業務を行っていることは調査からわかります。

皆さんの病院では、医師と看護師を比較してどうでしょうか?

医師よりも、看護師の方が、始業時間前から勤務を始めていることが多いのではないですか?

また、医師以外の多職種、例えばリハビリ(PT、OT、ST)、薬剤師、栄養士、放射線技師、検査技師、臨床工学技士、事務などと看護師を比べてどうでしょう?

やはり、看護師が一番早く出勤しているというの場合が多いのではないでしょうか。

さらには、若い看護師になるほど前残業と言われる始業前業務を行っている事が多いという結果が出ています!

若いから、あるいは経験が浅いから早く出勤して情報収集するのが当たり前という考えの方もいると思いますが、私はこの考えには反対です。

情報収集も、看護師にとっては仕事の一部であり業務なのです。

遊びや趣味でやっているわけではありません。

ところが、看護師の現場では「情報収集なんて勤務が始まる前に済ませてしまうのが当たり前でしょう!」

このような考えを持っている人は少なくありません。

 

では、なぜ日本医労連は毎年のように退勤時間調査の中で敢えて前残業と言われる始業時間前労働、始業前残業についても調査しているのでしょうか?

やはり、労働組合の立場からは当然ですが、「前残業」を問題視しているからに他なりません。

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時間外労働として残業代が請求できるのはどんな場合か

みなさんが所定労働時間を超えて働いている時間のうち、サービス残業といわれる「残業代が発生していない労働時間」と「残業代が請求できる労働時間」の違いはどこから来ていますか?

例えば、「上司や先輩から残業代を取って良いと言われた!」

この場合は、一番すっきりと残業代が請求できると思います。

本来、残業とは「上司の命令や許可に基づいて所定労働時間を超えて働いている労働時間」のことを指します。

上司の命令や許可が無ければ基本的には残業代の請求は難しいという企業、会社がほとんどであると思います。

したがって、「上司の命令や許可」というものが重要な残業の根拠となります。

前残業についても、看護師、介護福祉士で言うと「食事介助」のマンパワー不足を補う目的で上司からの命令で早出出勤、始業前出勤を命じられている場合には残業代が請求できるはずです。

もしも、食事介助を命じられたのにサービス残業となっている場合は間違いなくブラック企業といえる職場となります。

そんな現場が無いことを祈りたいですが、きっと存在しているのではないかと想像します。

看護師が出勤して始業前に前残業として業務を行っている仕事内容

私の過去の経験や周りの病院、あるいは友人から聞いた話しから看護師の主な前残業、始業前業務内容を記します。

看護師の前残業、始業前業務の代表例
  • 食事介助
  • 不穏患者対応
  • 急変対応
  • 情報収集
  • 朝礼
  • 点滴準備
  • 経管栄養準備
  • 内服薬確認
  • 検査準備
  • 治療準備

上記したもの以外にも、看護師の多岐に渡る業務のなかでまだまだ実際に行われている前残業は存在します。

看護師の情報収集は前残業に含まれるのか

結論から申し上げますと、現時点では日勤、夜勤前の出勤を含めて全ての勤務帯において看護師の情報収集は前残業に含まれます。

なぜなら、情報収集は看護業務を行うために絶対に必要なものであるからです。

ただし、看護師の情報収集は残業代が申請できるのかといえば、ほとんどの職場では認められていません。

また、近年では申し送りを短縮する看護職場が増えています。

なかには、申し送りを廃止する職場も出てきており、看護師の研究発表会や勉強会などに行くとしばしば申し送りを短縮・廃止するという発表を行っていることがあります。

申し送りを廃止して、勤務時間内に情報収集できる仕組みを作るのは有効であると私は思います。

ただし、看護現場は部署によって患者層が大きく異なり、情報収集に必要な時間にも差があります。

無駄な申し送り、不必要な申し送りを短縮する業務改善は大いに行うべきですが、一概に申し送りを廃止するのが正しいとは言えない現実もあります。

これについては、申し送り、情報収集、看護記録といった色々な要素が絡んでいるのでまたこれらをテーマに記事をアップする予定です。

上司の命令によって残業代は請求できる、よって前残業も看護師長の意識改革が必要!

先ほども述べましたが、上司からの指示や命令のもとで残業を行い、残業代が支払われるのが一般的です。

ここで、1つ疑問が沸きます。

上司が必要であると判断すれば、看護師の情報収集や点滴の準備なども前残業、始業前業務として残業代が請求できるのではないか?

結論から、申し上げますとその通りです。

ただし、近年病院経営は診療報酬の改定などにより非常に厳しいものがあります。

中小病院はもちろんのこと、大病院、総合病院でも例えば賞与、ボーナスなどの年間支給額は下がる傾向にあります。

病院の経営が厳しいとなると、そのなかでも真っ先に検討されることが人件費の抑制です。

つまり、病院だけではなく会社や企業など全てに言えることですが、収入と支出によって経営状況は決まります。

病院でいえば、診療報酬がどんどん下がり病院の経営者は収入減に苦しんでいます。

収入が下がれば、当然ですが支出を抑えないことには経営が成り立ちません。

そこで、人手を減らす、賃金をカットする、ボーナスを減らす、残業代を減らすなどの方法が取られます。

このような厳しい病院経営の実態があるなかにあっては、いくら労働組合が前残業、始業前業務がおかしいと正論をいっても、人件費、支出が増えることに対して経営者側が認めてくれることは考えにくいのです。

それじゃあ、為す術がないのか?

いや、そんなことはありません。

ここで、重要になるのが上司の意識改革であると私は思います。

看護師の上司と言えば、看護師長。

私は、3年半看護師長を経験しました。

看護師長にとって、大切な役割の1つが勤怠管理。

経営者側から言われていることに従うのも看護師長の役割ですが、病院、看護現場を守るために一番大切なのは「人」です。

労働者の権利をきちんと守れるように管理できるかどうかは、看護師長の大きな役割です。

退職、離職が相次ぐような職場というのは、現場の雰囲気もそうですがまずは看護師長の意識改革が必要な場合が多いと思います。

私は、幸いなことに労働組合の執行委員長まで経験させて頂きましたので、労働者寄りの病棟運営をしてきた自負はあります。

始業前に行われていた業務や前残業は、時差出勤で早出出勤を作ったり、業務時間内になるべく業務を移行したり、申し送りの短縮など色々な業務改善を職場の皆さんと話し合いながら私は進めて来ました。

あるいは、始業時間前に朝礼を開始するようなことは絶対にしないことも心掛けていました。

始業前に朝礼が行われることがもしも、日常的になっている職場があれば即刻無くすべきです。

このように、努力すればできる改善というのは意外と少なくないものです。

また、勤怠管理は看護管理だけではなく、人事課などとも相談して進めていくことも大切ですし、労働組合とも共働していくことも大切となります。

こうした業務改善についても、皆さんの看護現場で何かの役に立つヒントになればと思うのでまた特集する予定です。

看護師のサービス残業を減らすポイント、ホントはそんなに早く出勤時間しなくても良いのではないか!「時間」を大切にしよう

私が勤めていた前の病院ではこんな日常がありました。

看護現場で実際に起きている前残業の実態
  • 情報収集で30分前に出勤するのが当たり前、早い人は1時間前に出勤している。
  • 情報収集が終わったら、早く終わった人から点滴準備(ミキシング、ルート接続)。
  • 情報収集が終わったら、食事介助のお手伝い。
  • 夜勤は2交代制で16時間勤務、しかも仮眠もほとんど取れないという過酷なもの。
  • そんな夜勤前に1時間も早く情報収集で出勤するのが当たり前。
  • 勤務時間前に検温に回る看護師まで存在。
  • 勤務時間前なのに、内服薬チェック、経管栄養準備。
  • まだ始業前なのにいつも早く来ている人が15分前になっても来ていないと電話が掛かってくるw

こんな日常があったら、皆さん長続きしますか?

もちろん、この現場も少しずつ業務改善することができました。

ここで、考えてみたいのはサービス残業を減らすために大切なことは何かです。

サービス残業、特に前残業、始業前業務を減らすポイント
  • ☆師長、主任や経験豊富なベテランの意識改革が重要!☆
  • ☆先輩がやっていることを若手、後輩は真似する☆
  • 出勤時間を遅くする(先輩が早く来るほど若手、後輩はもっと早く来ないといけないとプレッシャーが掛かるもの)
  • 始業前業務として行っている点滴準備などは時間内にしか行わないというルールを決める
  • 自分の時間もそうだが、皆の時間も大切にするという意識を持つこと

サービス残業や前残業の話しをするに当たって、残業代が請求できる、請求できないという「お金」の話しはもちろん重要ですが、もう一つ大切な視点を忘れてはいけないと私は思います。

「時は金なり」ということわざがありますが、「お金」以上に「時間」を意識することが大切であると私は思います。

時間に余裕を持つことももちろん大切ですが、時間には限りがあることを意識することもとても大切です。

例えば、1時間も早く情報収集のために来るというのは、仕事によって私生活や人生の有意義な時間を犠牲にしているような気がしてなりません。

看護現場でも、もっと「時間」を意識して行動することで時間内に業務を終わらせる、無駄に申し送りを長引かせない、前残業はしないなどという方向になっていくことを望みます。

また、様々な会社、企業が働き方改革を進めていますが、「お金」が絡む働き方改革よりも「時間」を意識した働き方改革の方が進めやすいのです。

 

また、公益社団法人日本看護協会では近年ワークライフバランスを推進しています。

https://www.nurse.or.jp/wlb/

この看護協会の取り組みをとても良いことであると思います。

看護職のワークライフバランスを推進する上で、大切になるものはやはり「時間」であると私は思います。

看護師は、昔から3K(キツイ、汚い、危険)と言われ慢性的な人員不足の中で残業も当たり前となっていました。

しかし、このワークライフバランスの推進によって仕事と私生活の両立が進んでいこうとしています。

つまり、育児、家族との時間、恋人・友人との時間、1人の時間などといった私生活が充実するなかの一部に看護のお仕事もあるということ。

そんな生活を看護師、介護士の方が送れるようになれば言うことはありません。

ワークライフバランスの推進もそうですが、もう一つ重要なプロジェクトを日本看護協会では推進しようとしているのをご存じですか?

「Nursing Now(ナーシングナウ)!キャンペーン」

ナイチンゲール生誕から200年となる、2020年に向けてこのNursing Now(ナーシングナウ)キャンペーンを推進しようとしています。

この、ナーシングナウキャンペーンにおいてワークライフバランスの推進、看護職の社会的地位向上を目指していくことを日本看護協会の福井トシ子会長は明言しています。

看護職のワークライフバランスについてはまた特集する予定です。

また、2019年4月働き方改革法が施行されました。

この働き方改革の中で、大きなテーマとして「時間外労働」があります。

時間外労働といえば、始業後に残った仕事をこなすために、遅くまで居残りして残業を行うことに焦点が当たっています。

しかし、実際には特に看護師の現場において、前残業、始業前業務も無視できない問題となっています。

皆さんも、現場において朝の出勤時間も含めて、もう一歩「時間」を意識して行動してみてはいかがでしょう。

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